イメージの共有

土木設計や機械設計ではあまり多くないかもしれませんが、建築設計は建物オーナーやユーザーと打合せすることが多いため、技術的タームを極力用いないでコミュニケーションする必要があります。特に設計の初期段階では初対面でバックボーンが全く異なる方とイメージ共有を図る必要に迫られるため、その手法について試行錯誤を重ねることになります。
長く付き合ってくると知識や趣味趣向がみえてくるため相手が思い描いているイメージを類推できるような気もするのですが、情報がまだ少ない段階では神経を使います。
イメージ共有でよく使われる手法は、設計者サイドがスケッチやパース、オーナー・ユーザーサイドは雑誌やweb上の写真など画像情報によるものですが、その画像から何を伝えたいのか、何を読み取って欲しいのかを伝えないと十分なコミュニケーションは図れません。伝えたいのは形状なのか、寸法・スケールなのか、材質や質感・色調なのか、スペックなのか、あるいは組合せによる全体バランスなのか、喚起されるイメージなのかという情報が同時に無ければ、相手が何を読み取ったのか不明のままです。
著作権を無視して“完全コピーを造って欲しい“という場合なら少なくとも意図は伝わりますが(やりませんけど)、”こんなイメージでお願いします“”了解しました。こんな感じですね!“という場合、設計者がそれ以上のコミュニケーションを諦めている可能性もゼロではありません。
イメージを共有するツールとして画像や動画が有効であることは確かですが、その有効度合いは感性のシンクロ率に比例すると思います。こんなことを考えるようになったキッカケのひとつが“和風”、“和モダン”、“和の暮らし”といった言葉です。なんとなく伝えようとしているイメージは判らなくもないのですが、マーケティング用語だけでは設計の打合わせにはなりません。