願楽寺庭園・紫白庭

大田,庭園紹介

山間にひっそりと佇んでいる風情の願楽寺(がんぎょうじ・島根県太田市)は、石見地方に多い浄土真宗の寺で山号は金連山(こんれんざん)、開基は1471年です。寺の裏山に造られた庭は“紫白庭”と呼ばれ、200年以上前に造られています。斜面を覆うサツキと滝組、それに池があるだけのとてもシンプルな構成です。建物のすぐ近くまで裏山が迫っていますので、その分、緑が近くに感じられ、初夏や紅葉の時分には鑑賞目当てに寺を訪れる人もいるようです。

日本庭園には石灯籠があるものと一般には思われていますが、これは近世以降に現れた傾向。それ以前の古い庭に石灯籠などは置かれていません。(少なくともオリジナルには)蹲踞や鹿威しなども同様で、美しい日本庭園になるか、よくある日本庭園風の庭になるかは、置かれている景物のセンスにもよります。

飢饉に苦しんでいた村を救うため寺が備蓄していた籾を放出し、それに感謝した村人が飢饉後に庭を造ったとする伝承が残されています。この伝承と関係するかどうかは判りませんが、紫白庭は石灯籠などが無く、自然石と水と緑だけで構成され、それだけで十分に美しい庭です。江戸時代に造られた庭としてはとても珍しい存在だと思います。

蛇足ですが、願楽寺の山門で象の木鼻を目にしました。釈迦三尊像で脇侍を務める普賢菩薩と文殊菩薩はそれぞれ象と獅子に乗っていますから木鼻にもセットで登場しそうなものですが、獅子と違って象はあまり見かけません。木鼻に登場する動物で最も多いのは獅子、次いで多いのは獏か龍でしょうか。獏にも長い鼻と牙があるため象と勘違いされそうですが、毛を渦巻きで表現し三角形の耳がついています。

写真は、山門、滝組、心字池、飛石です。

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