方丈=10尺×10尺

建築史

 寺の住職が住む建物を方丈と呼びますが、元々は1丈四方(平方・square)という意味です。丈は長さの単位で10尺のこと、つまり方丈とは約3m×3mの広さを示しています。方丈サイズの草庵に住んでいたのが鴨長明で方丈記というタイトルもここから来ています。

現在は1間=6尺とされていますが、前々回のブログで書いたように1間の長さは地域によってまちまちでしたから、ローカルルールの中で使われた可能性はゼロではないでしょうが、基本的には尺が長さの単位として使われていたと思います。1尺の長さも時代によって多少は変化していますが、中世以降の○○尺と△△尺の違いは1mm程度です。

建築工事ならば尺で事足りますが、土木工事となると尺より大きな単位が必要です。尺より大きい長さの単位としては町・里があり、360尺=1町、36町=1里となっています。ちなみに360尺=1町という寸法は条里制の1町(面積の単位で1町=360尺×360尺)の1辺の長さと同じです。長さの単位と面積の単位が同じ字なので、面積の場合は1町歩という言い方もよくされます。

面積の単位は歩・畝・反・町(町歩)となり、36歩=1畝、10畝=1反、10反=1町でした。しかし、太閤検地の時に360歩=10畝=1反が300歩=1畝=1反に変更されました。畝・反・町の関係はそのままですが最小単位の関係が崩れ、1町(長さ)=360尺だが1町(面積)≠360尺×360尺となりました。また面積の最小単位だった歩は坪に代わり、現在は30坪=1畝と定義されています。そのおかげ?で1町歩≒1ha、1畝≒1aという関係が成立して農地や山林の面積を換算しやすいというメリットも生まれました。

1反=360歩から1反=300歩への変更ということで太閤検地は20%もの増税政策だったと解釈されがちですが、それと同時に1歩=6尺平方から1歩=6尺5寸平方(場所によっては6尺3寸平方)に変更していますから、6尺×6尺×360=12,960(平方尺)から、6.5尺×6.5尺×300=12,675(平方尺)とすれば増税は2.2%となります。単位を変えた目的のひとつは増税だったかもしれませんが、基本単位である1歩の大きさを6尺5寸×6尺5寸にするためだったとは考えられないでしょうか。6尺5寸という寸法は関西地方に多く見られる1間(柱間)寸法に近いのです。

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