新しい風景の発見

景観,自然

科学技術が人類の未来を拓くと素直に信じられ“自然”が征服すべき対象であった時代は、パノラマ的山岳景に代表される雄大・崇高な風景が好まれ、地球環境問題が前景化し“自然”が保護すべき対象になると、原生的自然の特異な風景が注目を集めるようになります。

経済的利用価値が低いため放置か埋立の対象にしかなってこなかった湿地、荒廃が進む一方だった里山なども、生物多様性の保持をはじめとする公益機能が認知されることによって、人々の関心が高まっていった側面はあるでしょう。環境意識と生態学的希少性という知見が結びつくことによって、“貴重でかけがえの無い風景・・・だからこそ美しい”という美意識が生まれとも考えられます。

人々の価値観やマインドセットが変わることで、新しい風景が発見されてきました。パノラマ的山岳景や原生的自然景観の発見は自然科学の進展ともリンクし、その風景へのまなざしは未来へ向かっていました。一方、湿地・里山などの二次的自然景観への関心は、近代的価値観によって失われたものを取り戻すようであり、その風景へのまなざしは過去に向かっています。

地域の活性化に携わる方々は地域の魅力をアピールするため、日々、たくさんの情報を発信しています。そこに写っている風景について、歴史的・文化的エピソードや今日的意味といった解説が加われば、より多くの人に魅力が届くのではないでしょうか。身近な自然のなかに意味を読み取ろうとすることは先人の営為を再構築するような作業であり、とても興味がかき立てられます。

Posted by nos