本高見家庭園










本高見家
本高見家は島根県出雲市(旧平田市)の豪農で、昭和8年に斐伊川の河川改修に伴って現在地に移転しているようです。優に1,000㎡を超す広大な敷地に100年近く経ち続けている典型的な出雲屋敷です。以前はこの庭と建物を活かした懐石料理のお店があり、昼・夜ともに一組限定で食事が楽しめました。写真はその当時のものです。
庭は出雲流庭園と呼ばれるもので、簡単に言えば“茶庭の趣を備えた枯山水庭園”です。一般的な日本庭園と大きく違うのは、普通は庭の主石となる滝石組や立石はむしろ脇役、巨大な短冊石や駕籠石(ひときわ大きな飛石)が目を引く庭です。主庭の左手に写っている灯籠は出雲地方でしか見られない珍しいもので、兜形灯籠あるいは古唐形・古銅形灯籠と呼ばれるものです。私は数例しか見たことがありません。出雲流庭園は白い敷砂に描かれた園路が主役のようにも感じられる風変わりな庭ですが、斐川平野にある日本庭園はほぼすべてが出雲流です。
本高見家は豪農でしたから茶室も設けていました。茶室の手前には蹲踞もあります。出雲流庭園の不思議なところは茶室を持たない屋敷の庭にも蹲踞や手水鉢が置かれていることです。最初は松江や出雲は不昧のお膝元で茶道が盛んだから、炉を切っていない座敷でも茶を点てることがあるのだろうと思っていましたが、茶席で用いるには不都合な場所や大きさの手水が多く、やがてそれを天水と呼ぶことを知りました。天水は自然石を利用していて庭の東南~南面に置かれています。私個人は月を写す池の隠喩ではないかと考えていますが確証はありません。
いずれにせよ出雲流庭園には蹲踞や袖垣など露地庭で用いられる景物が多く、それが“茶庭のような趣”に繋がっています。庭に置かれたスツールには賛否があると思いますが、庭園を活かしながら後世に残していくために必要であれば、私は構わないと思っています。
写真は、屋敷へのアプローチ、主庭、茶室、蹲踞です。



