建物の長寿命化・公共施設

長寿命化

サスティナブルデザイン=持続可能な設計、平たく言えば環境に配慮した設計という意味になり、建物の長寿命化、エコマテリアルの採用、省エネルギー技術などによって実現すべきとされていますが、実際にはエコマテリアルの採用と省エネルギー技術が中心であり、建物の長寿命化は単なるお題目と化しているのではないでしょうか。

ここで問題としているのは、長寿命化に対する設計上の配慮の有無ではありません。例えば長寿命化の目標年数を100年とした場合、そこから逆算して設計を進めす手法、B/Cを検証する手法などが普遍的技術として確立してはいない現実です。あるいは、コストカットのために長寿命化を犠牲にしたような建物を定量化した数値をもって否定できるのかということです。

旧建設省は1980年代に「建築物の耐久性向上技術」という開発プロジェクトを行っていますし、当時、都市部の公営住宅では住宅ストックの長期修繕計画を作成する試みが盛んでした。建物の長寿命化は40年以上前から課題として認識されていたはずです。また、大阪ガスがおこなったスケルトン・インフィル方式による実験型集合住宅・NEXT21は1993年竣工です。これらのプロジェクトからもたらされたはずの知見のうち、現在、共有できているのはどの程度でしょうか。

ようやく近年、多くの公共施設について長寿命化計画を策定する動きが本格化し、対象施設や省庁ごとに劣化度調査や長期修繕計画の策定手法などが指針・事例・マニュアル等によって示されています。そのこと自体は歓迎すべきですが、旧建設省のプロジェクトから40年後という事実を踏まえると技術的知見のストックがあまり増えていないと判断せずにはいられません。今後、公共建築の維持保全予算を確保する枠組みは、本当に建物の長寿命化を目的とした形に代わるのでしょうか。

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