外皮の断熱性能

建物の省エネ性能を確実に高めるためには外皮の断熱性能を向上させる必要があります。外皮とは建物の屋根・外壁・窓・床など外気と接する部分のことで、少しだけ古いデータになりますが、冬に暖房の熱が室内から逃げる割合は屋根6%、外壁19%、窓48%、床10%、換気17%です。つまり窓の断熱性能を高めることが効果的なのですが、前々回も書いたように断熱・遮熱効果の高いガラス窓が普及したので20年前と最近の住宅を比べると断熱性能には格段の違いがあります。
ガラス窓の断熱性能が向上した理由のひとつは単板ガラスからペアガラスへの変更です。ガラス2枚の間に空気層を設けることで断熱性能に2倍の差が生まれますし、乾燥空気の代わりにアルゴンガスやクリプトンガスを用い、ガラスに金属膜(LOW-E膜)を施してさらに断熱性能を高めた製品もあります。トリプルガラスの製品も出てきましたので、今では一般に複層ガラスと呼んでいます。もうひとつが窓枠の改良です。アルミの熱伝導率はガラスの100倍以上、空気の4000倍にもなります。そこでアルミ枠の見付面積を小さくする工夫をこらし、あるいはアルミの代わりに樹脂を用いた製品が開発されてきました。
外皮は窓以外に屋根・外壁・床などがあり、その断熱性能を規定するのが省エネ基準と呼ばれるものです。省エネ基準は、昭和55年、平成4年、平成11年・・・と何度も改正され、その度に数値と適応範囲が厳しくなり続けています。最近では改正建築物省エネ法が令和元年に改正され、建物規模や用途によって省エネ性能への適合義務、届け出義務、説明義務などが決められています。一般的な住宅に対する適合義務は見送られましたが、それも時間の問題でしょう。古い建物でもそれが建てられた時点の基準は満たしているはずですが、以前の基準と最近の基準では外気温に対する室内温度の下降程度が2℃~5℃~10℃と違ってきます。外気温が氷点下に近い厳冬期、目覚めたときの部屋の温度が0℃に近いのか、5℃前後なのか、10℃以上あるのかは決定的な差でしょう。
換気17%というのも無視できない数値です。換気扇は室内の空気を外に排出するわけですから排気に含まれている熱エネルギーが損失しているわけです。一般にロスナイと呼んでいる熱交換型の換気システムは昔からありますが、一般住宅ではコスト面でまだまだ普及が進んでいません。