縁側の種類

建築史

今年になってからの出来事です。調べたいことがあって住宅メーカー数社のHPを見ていた時に、縁側について変な記述を見つけました。1社だけなら珍しくは無いのですが、その時は2社つづけて同じような記述があったので、一瞬、自分の知識を疑いましたがやはりHPのほうが間違っています。

縁側について書かれた記事で、建物の外部にあるのが濡れ縁、内部にあるのがくれ縁という記述です。濡れ縁(あるいは外縁)についてはその通りですが、くれ縁(榑縁)に内外の意味はありません。これは板の張り方(方向性)を示す言葉で、縁側の長手方向に板が張られた縁側という意味です。直交方向に板が張られた縁側は板の小口(断面)が見えることから切り目縁といいます。板と言っても幅広の厚板であることが多く、寺社の濡れ縁などによく見られます。

雨戸・ガラス戸・サッシによって室内になった縁側は内縁と呼びます。外縁(または濡れ縁)と内縁、外縁の中で建築と切り離されて置かれたものなどが縁台となります。少しだけややこしいのですが、これとは別に入側縁(いりかわえん)というのもあります。建物外壁にある柱を側柱(かわはしら)、その1間内側の柱を入側柱(いりかわはしら)といい、その1間幅のところを板張りの縁側にしたが入側縁で広縁とも呼ばれていました。今は4尺幅程度の縁側でも一般的な半間幅よりは広いので広縁と呼んだりしますが、本来、広縁は1間幅が基本です。和風旅館によくある窓際の小スペースは広縁を座敷ごとに分割してできたことから、今でも広縁と呼ばれています。

冒頭に述べた内縁についての間違い記事ですが、おそらくWikipediaが元ネタではないでしょうか。住宅メーカーがHPを充実したくて外部ライターに記事を依頼し、ライターは建築に関する知識をネットで検索して、Wikiの記述を鵜のみして文章化した、といったところでしょうか。そうでなければ検索上位にでてくる住宅メーカー2社のHPに同じ間違いが載るとは思えません。万にひとつですが、将来、この間違いを信じる人の割合が増え、くれ縁=内縁が正解になる日が来るかもしれませんが、その前にWikiの記述を訂正して欲しいものものです。

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