古代出雲 オロチ神話その2

スサノオ,出雲神話

大雑把な話ですが、オロチ伝説地は眺望のよい山の峰に位置するか近接しているという共通点があります。樋口忠彦の景観類型で言えば、「隠国(こもくり)」型景観、「神奈備山」型景観、「国見山」型景観のいずれかに分類され得るところばかりです。山の辺に住む人々にとっては自分たちが住む土地のシンボルであり、心の拠りどころでもある場所が伝説地に選ばれているのでしょう。

更に面白いことに、伝説地や伝説地が近接する山の峰を地図上にプロットして直線を引いてみると、御室山(島根県雲南市大東町)を頂点とする三角形が現れます。

私は『出雲国風土記』に書かれていた烽(とぶひ)を連想しました。とは古代の通信手段の一つで、軍防令によれば、「凡そ烽を置くは、みな相隔たること十里(約21.4km)、もし、山岡隔絶している場合は、便宜に従って置け」とのこと。『出雲国風土記』に記載されている5烽はこの条件を満たしていますが、そのルートは宍道湖の北側を通っており南側には存在しません。

そこで南側にもルートを設定しようと妄想すると、御室山と八雲山が候補地としてうってつけの位置にあるのです。八雲山は雲南市と松江市の境にあり、スサノヲがイナダヒメと新居を営んだとの伝説が残されている山です。宍道湖、中海、三瓶山、大山、隠岐諸島にまで眺望が拡がっています。

この八雲山とオロチ伝説地を結ぶ位置にある御室山によって、宍道湖の南側に四十里前後の間隔をおいた烽の配置が完成するのです。想像をたくましくすれば、出雲郡や意宇(おう)郡の平野部と奥出雲山間部を結ぶ通信網があったのかもしれません。

Posted by nos