奥出雲・雲南のカツラ

カツラは若葉が出る前に小さな花を咲かせます。花といっても萼や花弁はないのですが、雄蕊の葯・雌蕊の柱頭が赤く色づき、遠目だと茜色に見えます。(カツラは雌雄異株・花は風媒花)
写真は島根県雲南市にある“菅谷たたら山内”のカツラで、15年近く前のものです。大きく写っている屋根は、映画「もののけ姫」に登場した“たたら場”のモデルと言われていた建物。この日は曇り空でしたが、雲の切れ間から日が差すと刻一刻と色を変えていき、夕日に染まる瞬間が最も赤みを増します。花の見頃はせいぜい数日間、ソメイヨシノの開花より10日程前あたりでしょうか。



奥出雲・雲南地域は“たたら製鉄”が盛んだったので、カツラが自生できそうにない場所でも大木を目にすることがあります。中国山地で鍛冶・製鉄に携わっていた人々の信仰を集めていたのが金屋子神、その神木がカツラなので、山中であっても作業場付近に金屋子を祀る祠があれば近くにカツラも植えられたからです。奥出雲の追谷地区に“たたら場”跡があります。跡といってもわずかな石積みが残されている程度ですが、樹形がとても美しいカツラの大木をみることができます。
国指定天然記念物となっているカツラの木は全国に7本、うち2本が奥出雲・雲南地域にある「竹崎のカツラ」と「海潮のカツラ」です。島根県立古代出雲歴史博物館のアプローチに植えられているのもカツラ、“たたら製鉄”ゆかりの木として植えられているそうです。それなのに島根・奥出雲とカツラの木が結びついている印象は・・・あまり無い・・・ナンで?